私の住む県のとある市では、「幸夢員(こうむいん)通信」なるものを市役所のサイトやら何やらで発信しているらしい。「公務員」と掛けたんだろうけど。その市の市長から職員へ、っていう体だけど何故かホームページに載ってる。内輪の話じゃないのか。

新聞にインタビューが載っていたけど、「公務員の悪いイメージを払拭する為に、自分達が『幸夢員』である事を自覚して、市民の為により良い仕事を」とか何とか。悪いイメージかあ。そんな自虐的な。しかしこの「幸夢員」って当て字、どう考えてもヤンキーの発想。“夜露死苦!”って言うのとどこが違う。当て字をする事にあんまりいいイメージがないんだが。ヤンキーか、って思われるほうが悪いんじゃないか?

それより何より、「公務員の悪いイメージ」の最大の原因が、民間企業に比べて賃金・福利厚生・退職金・昇給などの面でかなり優遇されている、それが人件費増大を招いている、ひいては財政負担の最大の元凶になっている、事にあるんじゃ。その市は、隣の市と合併を模索してたけど、隣の市が人口に比べて職員数、賃金が高すぎて合併するとむしろ財政負担になり、結局(合併の)折り合いがつかなかった、という事情もあったのに。

一番の問題点に触れずに、「市民サービス」の面だけ強調されてもな。むしろ市民サービスなんて、公務員ならいちいち文書化するほどの事もない、当たり前のサービス(と言うか元々の仕事)なのに。労組も「我々の労働権を守ろう!」とか必死だけど(@保健所時代)、それはそれで良いけど、もっと悲惨な民間の会社の人間からすればねえ。ただ単に、今までがお手盛り過ぎただけで、それを是正しようってだけなのに。

衆議院選挙を控えて、各党のマニュフェストも発表され、いよいよ公務員の人件費削除は目の前のようだ。各紙社説も、公務員の給与削減を必死で訴えている。ま、それはそれで正論だけど、実際削減されたら、その分消費が鈍化して景気も悪化するだろうけどね、ってのはどこの新聞も書かないのな。それはそれ、これはこれ、か。

私の住む市では、今後8年間で1100人近い職員が定年退職を迎えるが、その間新規採用を600人程度に抑え、トータル500人の職員削減という事になった。で、それを伝える地元夕刊紙、一面のその日の時事の話を数行で統括する欄でこんな末尾「若者の雇用の場が、また」。確かに、公務員が雇用の場であるという面も分かるが、それにしたって。全国紙ならまずありえない見解ではある。

実際、私の住む県の離島(の村)では、賃金を他の市町村の4分の3に抑える代わりに、職員を多く採用して若者の村離れを防ぐという政策を採っている。ワークシェアリングという奴か。近隣の町・村との合併話が起きても、結局この政策がネックとなりその離島は合併をしなかった。大して産業も無い離島なので、当然国からの補助があってそんな政策もやれるんだろうが。いくら賃金を抑えても、自前の歳入だけでは当然やって行けないのだが。

ここからは私が考える無謀な案。

民主党が、3年間で人件費を10兆円削減と言っているが、かなり無理っぽい。地方に行けば行くほど、雇用の場という面は拭えない。いっそ、今の職員の給与を2割カットして、その分大量に職員を採用し、(基本的に)週5日働いている所を週4日にして、残る1〜2日は好きにパートやアルバイトを認める、というのはどうか。専門職や責任職を除いて。

安定した最低限の給与だけ保障して、あとは個々が好きなように、って。やっぱ、同じ場所でずっと働いててもルーチンワークで飽きるだろうし、民間の風も受けた方が公務に生かせるだろうし。

「学校」という公の機関を卒業して、これまた「役所」という公の機関で一生を過ごす、ってのは価値観が狭いと思うし。特に教師なんか、「学校」を出て「学校」に就職して、ずーっと学校で人生を終えるんだしな。ま、アルバイトやパートで大した事は出来ないだろうけど。これから少子化を迎えたら、フリーターも減って、フリーターに頼っていた労働の部分を補う意味でも。

ま、そんな机上の空論通りに上手く行く訳もないが。そもそも公務員の副業は法律で禁止されてるし。