最近、新聞でよく介護予防事業に関する話を目にする。「健康指導を実施する事で病気を予防する事により、医療費の増大を防ぐ」というのは本当か、どこまで真実味があるのか、と。

確かに、これから高齢化社会を迎えるに伴い、財政支出に占める医療費の割合も増えていくことだろうとは思う。病気は「なる前に予防しておく」もしくは「早期発見・早期治療的なノリが大事」とはよく言われることである。虫歯があるけど歯医者が嫌だと放っておいて、我慢できなくなるまで放っておいたら、結局初期段階より長く通院治療する羽目になった、それで初期段階より通院費も多くかかったという話をよく聞くし。こういう人が多いから、歯医者は儲かるのか。知らんが。

寝たきりを防止するために筋力アップの運動を、というのは正論だと思う。ただ、新聞などが問題にしているのは指導してどこまで効果があるのか、ということだろう。結局、指導しても当事者達が実践しなければ何の意味も無いし。ついでだが、私も保健所で働くまで市が一般市民に対してそんな運動指導を実施しているなんて知らなかった。おそらく他の都道府県でも似たようなことはしているんだろうが。

特に老人になればなるほど、「習慣」というのはどうにもならないケースが多い。運動習慣の無かった人に急に運動しろ、と言われても中々難しいのが現実か。「食習慣」もそうだ。減塩食とか言われても、それまで味の濃い物が好きだった人に急に減塩食を進めても無理、とかよく言われる。そう言えば、母方の祖父母が入院してお見舞いに行ったとき、醤油を隠し持ってたな(隠してはないか)。別に腎臓が悪かった訳じゃないけど、病院食の薄味には耐えられない、って事か。まあ減塩なら対策もいくつかあろうが。出汁をよく効かせて旨味を多く出せば少ない塩分でも美味しく感じるとか、焼き魚にも柑橘類をかけることで少ない塩分でも美味しく感じるとかそういうノリか。私は一体何になりたいんだ。

なんだかんだと本題へ。こういう「健康効果」を謳う情報番組ってのも多くある。「○○を食べ続けると身体に良い」とか「こんな運動を続けるとウエスト○○センチ減少!」とか。こういう番組の中で、被験者になる人たちは本当にそれらの事を一定期間続けている。ある食材を食べ続けたり、運動を続けたり。よくやるよなあ、と。最近だと「あるある大事典」の「シソ」の回か。こちら。別にシソが嫌いな訳じゃないんだけど、あんな香りの強い物を2週間も食べ続ける(しかも1日あたり20〜30枚も)のは結構きついと思う。おそらく、番組側からそれなりのギャラが出るんだろうけど、番組でないと絶対にしないと思う。シソの値段と健康効果とのつりあい考えたら、どうも効率悪いしな。しかし、こういうのって治験みたいだ。

こんな運動とかこんな運動とか、正直言ってカメラが回っている(ギャラも貰える)から続けられる事で、中々一般人だと実践する人もいないのではないか。効果の真偽も疑わしい。どこまでやったのか、本当にこの運動以外はそれまで通りの生活だったのか、ブラシーポ効果なんじゃないか、と考えるとキリがないし、また仮に本当だとしてもちゃんとしたインストラクターが教えないと、間違った方法で(というか実際よりゆるく)やったら効果も無かろう。きちんと教わらないと、適度に痛い様に、位にしかしないような気がする。間違った方法でやって「効果がない」と苦情を寄せても番組的にはどうしようもないしなあ。また人によって効果に違いが出るだろうし、違いも大きそうだよな。

ギャラもそうだけど、やっぱりみんな「カメラが回っている→誰かに見られている→誰かに強制されている」状態だとやるのかな。例えば、の話だけど、老人もみんな携帯電話を持つようになったら、自分がその日に必要な運動を実践したかどうかを記録・送信して、そのデータを保健所なりどこかの民間施設なりが受け取って、サボってるようだと電話したり直接家庭に訪問しに行ったり、とかすればいいのか。これぞIT社会と高齢化社会のコラボレートか。そんなに上手くいくのか。というか単なる妄想。

寝たきり防止の為には監視社会化が良いのか。それもどうだかね。ストレスになっちゃうと本末転倒だしな。あと補足だけど、保健所の事業を否定するつもりは全くなくて、出来うる範囲内でやれる事をやっても結局は本人次第、というのが難しい問題だと提言したかっただけ。