こっちで触れる事じゃないけど、まあ一つ。

安倍なつみの盗作騒動の件、もう散々色んなサイトで言われてるからもういいとは思うんだが、気になった事を。この件の最大の疑問は「“本人作詞”というのが、本当に彼女が書いたのかそれともゴーストライターが居たのか」という点だと思う。ネット上では、基本的に前者を前提として色々言われている。そっち側の意見はもう散々言われてるので、後者の点で考えてみたいと思う。

この件を芸能情報でも扱っていたが、その時は水曜日だったんだけど、「やじうまプラス」の水曜レギュラーコメンテーターの大谷昭宏勝谷誠彦は二人揃ってこの話題に関してゴーストライター説を唱えていた。曰く「彼女にとっては寝耳に水だと思いますよ」だの「僕ら作家の世界ではアイドルのゴーストライターなんて当たり前」だの。確かに、売れない作家がゴーストライターとして小銭を稼ぐ、なんて事があっても全く不思議じゃない。まして我々素人ならともかく、その業界に身を置く人間の発言なら尚更信憑性はある。「ゴーストライターのやっつけ仕事に巻き込まれてかわいそうに」って感じで半笑いしてた。

確かにどう考えても、歌手業やその他テレビ等のメディア露出でただでさえ忙しいタレントが作詞してるなんて思えないし、ましてや盗作元があまりにも広すぎるし、ゴーストライター説のほうが理解しやすい。よくネタにされる事だけど、松本伊代がアイドル時代に自著の本を発売する事になり、番組で宣伝して「どんな内容の本ですか?」と司会者に尋ねられて「え、まだ私も読んでませんから分かりません」と答えたという小粋なアメリカンジョーク的エピソードからも分かるように、ゴーストがいて当たり前なのかもしれない。それにしても「僕ら作家の世界では当たり前」ってのはまずいんじゃないか。ボソッと言ったけどとんでもない爆弾発言じゃ。

でもゴーストライターにしてみれば、例え盗作してやっつけ仕事しても、提出した時にバレさえしなきゃいいんだもんな。仮に今回の件がゴーストだとしても、事務所的には今後二度と起用しないだろうけど基本的にお咎め無しだろう。だって「今回の件、実は本人ではなく詩は別の作家が書きました」とかメディアで公表したら、「じゃあ今まで本人作詞と嘘をついていたのか」と責められる事になるわけだし、ゴーストライターを強く責めたら「じゃあゴーストだったって世間にばらしますよ」と開き直れるし。

何度も言って申し訳ないけど(こっちでは初めてか)、別に本人作詞じゃななくて良いと思うが。例えば、ドラマや映画なんか役者本人が台本を作るわけじゃないけど、感情を込められたりするのと同じで、別に歌い手が作らなくてもそれを表現できる能力さえあれば別に。まあ大体アイドルの場合、表現力が乏しいから「本人作詞」という事でさもクリエイティビティがある・確固とした思想がある様に見せかける、という手段なんだろうけど。

しかし、テキストサイトを作る人間としてはあまり他人の盗作の件を色々強くは言えない。正直な話、人のサイトで良いと思った考えや表現を露骨にパクる事なんてしょっちゅうあるから。勿論そのままダイレクト、じゃないにしろ。その逆で、自分の意見をパクられる事もあったかもしれない。自分の場合は、それはそれで共感してもらえたなら嬉しい、とは思う。まあこういう表現世界なんか、パクりパクられの世界なのかもしれないけど。全ての創造は模倣から始まる、と海原雄山も言ってたし。別にゴーストの応援じゃないけど。