だいぶ前の事だけど、青色発光ダイオードを発明した研究者が、発明とその特許に対して見合った分の額を会社が支給してくれなかったとして訴えて、1審では50億円くらいと言われたけど、結局和解して得たのは8億数千万円だったか。特許代と、その会社が今後受ける特許料から比べたら比較にならない、と激怒していたが。

詳しい事は全く分からない。けどまあ、100億円を要求、ってのは流石に言い過ぎな気もする。だからと言って、8億円強じゃ少ない気もするが。20〜30億円くらいが妥当なのかね。あのオッサンも、発明したのは確かにすごいけど、だからと言ってとてもそれを売り歩くような能力があるとは思えないし、身の周りの給与計算だ経費の管理だ税金の計算だ、といった能力があるとも思えないし、つまり会社って開発部だけじゃなくて営業部とか経理部とか人事部とか総務部とか色々あって、どれか1つ欠けても成り立たないんだから、そんなに開発だけが物凄く偉いって訳じゃないことをもうちょっと弁(わきま)えた方が良いと思うんだが。もし発明できてなかったら、というリスクを考えても。

とは言え、あの会社の経営者達の態度にはちょっと怒りを覚える。「たかが研究者如きが訴訟とか起こすんじゃねーよ」みたいな言い草。「あーあ、8億円損した」みたいな態度。何なんだ。ニワトリが先か卵が先か、みたいな話ではあるけど、本当に開発者に対して冷たいよな。今後何百億円も儲かる、と言われているのに、訴訟を起こさなかったら1千万円くらいで済ませようと思ってたみたいだし。理系は就職に強いと言われるが、結局最後は文系か。何なんだ。

数週間前に、日経新聞とか他紙の社説でも「少子化を控えて、日本はもっと女性の科学者の登用を積極的に進めるべし」というのがあった。女子中学生に聞いた意見でも、科学者では親が喜ばないと考えている子が多いらしい。確かに私の学生時代を考えても、理系と文系では圧倒的に女子生徒の数に差があった。最近の調査で、理系の能力に男女差は無い、と出たらしいけど、能力自体に差はなくても「好きか嫌いか」という点で女子生徒は文系を選びがちだ。私は大学は理学部だったんだが、ここでも女子生徒は少なかった。同じ理系でも医学部は男女半々、とか言われるみたいだから、理系を選択しても結局理学部は中々行かないみたいだ。まして数学科なんて。私の学年は40人中6人女性だったが、2つ下の学年は1人しかいなかった。数学・物理は特に選ばれない。心理学とかだと圧倒的に女性が多くなるんだけど。

昔からのステータスとして、金持ちは自分の子供に「将来は医者か弁護士になって欲しい」というのがあったと思う。文系なら弁護士、理系なら医者、か。でも同じ位社会的に地位のある立場として、文系なら税理士とか公認会計士とか社会保障労務士とかあると思うんだけどな。基本的にこれらも人手不足らしいし。理系ならそれこそ研究者が。大学院とか出てたら、基本的に食うには困らないと思うけどな。特に東大の大学院とか出てたら、いくらでも企業の研究所からオファー来るだろう。トヨタとか日産とか。医者と変わらない位、地位もあるし収入もあるし社会に貢献もするだろうがなあ。本当は研究者になりたかったけど、親がどうしてもと言うので泣く泣く医学部選んだ、って人もいるのではないか。余談だけど、いつも思うんだが、いくら勉強が出来ても手先が不器用だと難しい手術とか出来ないんじゃないだろうか。勉強とか努力じゃどうにもならない、けど人の命に関わる根本的な問題じゃ。ま、手術のない皮膚科って道もあるかな。

昔、ある人に「ウチの息子が理学部を目指してるんだけど、就職は〜」みたいな事を相談されたけど、やっぱりこの辺も「研究者」という職が理解されていない所か。話聞いてたら、理系なら薬剤師になって欲しいみたいな感じだったけど。ま、親として子供に安定した職に就いて欲しいって気持ちも分かるけど、安定した職業だけで世の中成り立ってる訳じゃないじゃん、って。

理系なら、これからの時代エンジニアがメインになってくるのかな。データベースだネットワークだ、色々あると思うけど。意外とその辺知られていないよな。